フォト_ギャラリー

2018年04月04日 [ 第364回 ]

カケス,ケリ

 

 カケス Eurasian Jay Garrulus glandarius

 分類:スズメ目 カラス科

 全長:33.0cm

 翼開長:50.0cm

 分布:九州屋久島以北で留鳥または漂鳥。

 生息環境:平地〜山地の林。

 食性:木の実など。

 フォトギャラリー:第274回他参照

 撮影難易度:★★☆☆☆


 撮影日:2018年3月15日

 撮影時間:07時17分29秒

 シャッタースピード:1/400秒

 絞り値:F5.6

 撮影モード:絞り優先AE

 焦点距離:300mm(換算450mm)

 ISO感度:400

 撮影地:大阪府

 使用カメラ:NIKON D5100

 使用レンズ:Nikon AF−S NIKKOR55−300mm 1:4.5−5.6G ED VR





 

 

 ケリ(上=成鳥、下=幼鳥) Grey-headed Lapwing Vanellus cinereus

 分類:チドリ目 チドリ科

 全長:36.0cm

 翼開長:75.0cm

 分布:中部・近畿で留鳥。その他地方で夏鳥または冬鳥。

 生息環境:河川、水田など。

 食性:昆虫など。

 レッドリスト:情報不足(DD)

 フォトギャラリー:第226回他参照

 撮影難易度:★★☆☆☆


 撮影日:2018年3月15日

 撮影時間:10時32分26秒

 シャッタースピード:1/4000秒

 絞り値:F5.6

 撮影モード:絞り優先AE

 焦点距離:300mm(換算450mm)

 ISO感度:400

 撮影地:大阪府

 使用カメラ:NIKON D5100

 使用レンズ:Nikon AF−S NIKKOR55−300mm 1:4.5−5.6G ED VR


 撮影日:2010年5月12日

 撮影時間:14時46分44秒

 シャッタースピード:1/250秒

 絞り値:F11.2

 撮影モード:マニュアル

 焦点距離:600mm(換算900mm)

 ISO感度:800

 撮影地:大阪府

 使用カメラ:NIKON D40

 使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
        :Nikon Teleconverter TC−201 2×


 このエリアのカケスは警戒心が強い傾向があり簡単には撮らせてくれない。 だがこの朝自宅近くで 見たこの個体はこれで隠れているつもりなのか暗い林の中でじっとしていたので小枝がたくさん被る条 件の中で何とか隙間を見つけて撮影することが出来た。
 チドリ科の中では最大種でカケスよりも大きいケリは見つけやすいし飛ぶと白と黒のコントラストが更 に目立つ。 毎年この時季に見ることが出来るのでどうやらここが定期的な繁殖地として定着している ものと思われる。 図鑑によれば東海地方から兵庫県にかけての太平洋側に多いとされるがレッドリス トに載っている野鳥の繁殖地は貴重だから邪魔しない様に気をつけねばならない。 繁殖中は気が立 っているので不用意に接近するとけたたましく鳴きながら上空低いところを飛んで牽制する様な行動に 出る。 水田地帯の真ん中で遭遇してしまうと足早に退散する羽目に陥る。 人間に対してさえ怖気づく ことが無いほど気性が激しいからトビなどが間違って上空を飛ぶと大きな体格差をものともせず果敢に 襲い掛かって追い払う。 あまり見たことは無いがチドリ科の野鳥は擬傷により天敵を引き付けて卵や 雛から遠ざける行動に出る事も有る。 コチドリの幼鳥だったと思うが擬傷によく似た行動をとっている のを一度だけ見たことが有る。 本能的な予行演習だったのだろうか?
 ケリの2枚目は幼鳥と思われる古い在庫写真だ。 と言ってもこれは携帯電話待受画面サイズで公 開済みの画像だ(フォトギャラリー第80回参照)。 幼鳥は全体に淡褐色で胸の帯は淡色、背や雨覆 に淡色の羽縁が有る。 ケリに限らずこういった特徴は他種の幼鳥についても共通して見られる傾向 が有る。 親鳥より目立たない事で飛翔力の弱い危険な幼少期を生き残る確率が高まると考えられ る。 また逆に言うと親鳥は幼鳥より目立つことにより幼鳥を守っていると考えることも出来る。 という ことは僕も親鳥に気を取られて幼鳥を見逃していることも多いのではないかと思える。
 前回オシドリのコラムでレッドリストについて述べたがケリもオシドリと同じく情報不足に分類されてい るのでその流れで今回は生物の多様性について持論を展開しようと思う。 よく生物の多様性という言 葉は耳にするがなぜそれが大事なのか良く分からないというのが一般的な意見だろう。 野鳥ファンの 目線では野鳥を含む野生動植物の保護は当然の事という意見が大勢を占めると思われる。 しかし世 の中は同じ意見の人ばかりとは限らない。 特に発展途上国の人などにとっては野鳥の保護などより 人間の生活を最優先にして欲しいだろう。 広く万人に受け入れられる為にはまず人間目線である事 が求められて当然だろう。 生物の多様性について考える時もその原則は同じであるに違いない。 し かしよく考えてみれば生物の多様性が失われて困るのは我々人間ではないかと思える。 例えば生物 の多様性が失われた社会を想定してみると分かりやすい。 多くの鳥類種が絶滅し鶏しか生き残って いない世界ではひとたび気候変動や伝染病が発生した場合、その環境に順応して生き残る種が存在 しないという結果を招き食糧難が人類を襲う事になりかねない。 もし将来氷河期が到来して鶏が絶滅 に瀕した時にペンギンが繁栄すれば新たな食料源として人類を救う存在に成り得るかも知れない。 し かしペンギンが既に絶滅している世界では暖房の効いた室内で飼育した高価な鶏は途上国の人が買 えないから遺伝子操作などで寒冷地に適応可能な鶏を開発せねばならない。 もちろんそのためには 元となる鶏が必要である。 それでも氷河期には飼料すら育たないという問題が残るが生物の多様性 が保たれている世界では極地に分布している植物種などの中から寒冷地でも生育可能な穀物が品種 改良などにより登場するかも知れない。 現在地球上に存在する生物種のいずれが人類を救う運命を 担っているのか誰にも予測は出来ないだろう。 であるならば生物種が多様であればあるほど人類に とって好都合であると言える。
 記憶に新しいところでは2008年のノーベル化学賞の受賞に繋がったオワンクラゲの緑色蛍光タン パク質の発見はレポーター遺伝子の作成により科学医学研究に大きく寄与している。 もしオワンクラ ゲが絶滅していたらこの発見は無かった。
 また生物の多様性が失われるという事は生態系が変化してしまう事を意味する。 たった一つの種が 絶滅した結果生態系に予測不能な事態が生じる恐れが有りその結果は人類にとっても不都合である 場合が多い。 捕食者が居なくなった生態系では捕食の対象となっていた種が大量発生しその採餌対 象が連鎖絶滅するという事象が起こり得る。 端的な例がオオカミの絶滅によるシカの大繁殖と農作物 や植林の食害だ。
 以上の様な事から生物の多様性が保たれている事は人類の将来にとっても有益であると考える。


 トビ:フォトギャラリー:第278回他参照
 コチドリ:フォトギャラリー第54回参照
 オシドリ:フォトギャラリー第363回他参照



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